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2015.1.09⇒

第二次世界大戦 終結70年   

「日本を見る世界の目」

 2015年は第2次大戦終結から70年となる節目の年です。この70年間、世界は日独伊の侵略戦争の断罪のうえに、戦後の国際秩序を確立しました。しかし、安倍政権は「戦争をする国づくり」に向けて憲法改悪を意図し、侵略戦争を肯定・美化する宣伝センターとなっている靖国神社参拝に固執するなど、戦後の国際秩序に挑戦しています。大型連載「第2次世界大戦終結70年」では、安倍政権の異常さとその根源に迫ります。第1部は「日本を見る世界の目」です。

国際良識からの政権批判>
 「戦争の記憶についてどのように対処すべきなのか、日本政府と国際社会の理解に違いがあります」。日本の近現代史が専門の米コロンビア大学のキャロ ル・クラック教授はこう述べます。
 戦後から現在までで「記憶文化」と呼ばれる概念が、「グローバル(地球規模)記憶文化」と呼ばれるまでに発展。当初は原住民の奴隷化や虐殺、内戦などの歴史を集団的な記憶として扱うという考えが、国際的に共同して記憶するという考えにまで拡大しました。
 そして記憶の対象は、ホロコースト(ユダヤ人大虐殺)や植民地支配、原爆投下などの核被害、そして旧日本軍「慰安婦」にみられる人権間題にまで至り、被害者側の謝罪要求が理解・共有されることになりました。

歴史問題の解決を
 「慰安婦」の強制性などを認めた1993年の河野官房長官談話を否定する安倍政権の動きに対する国際社会の批判は「国際的な共通の文化、国際政治の良識から発せられたものです」と、グラツク氏は語りました。
 2013年12月26日に安倍首相が日本の侵略戦争を肯定・賛美する靖国神社を参拝したことを、米政府は「失望している」と表明しました。
14年4月、韓国を訪問したオバマ米大統領は、「慰安婦」について「甚だしい人権侵害」と非難。「過去は率直かつ公正に認識されなければならないと、安倍首相と日本国民はきっと認めると思う」などと述べ、歴史間題を解決すべきとの考えを示しました。
 クラック氏は、「米国は東アジア諸国と、できるだけ円滑な関係と安定を望んでいます。その安定を破壊する歴史問題が米政府には邪魔なのです」と解説しました。

近隣諸国に向けて
 グラツク氏は同時に、日本が戦後に米軍に占領され、ソ連側と対峙する冷戦下に置かれたことが、これまで他のアジア諸国と戦争の記憶が共有されていない歴史的理由だと説明。「日米同盟が一番大事で他のアジア諸国のことを気にしなくてもよかった。でも今は日本にとってアジアは政治経済的に非常に大切な地域です」。
 クラック氏は警告します、「戦後70周年に安倍首相は談話を出すのか、近隣諸国に向けて何を言うのか、靖国参拝はするのか、とても危ない時期になるかもしれません」。
 こうした危惧はグラツク氏だけではありません。

逆流に各国厳しい視線~戦後の国際秩序維持できない
 アジア太平洋への侵略戦争に突き進んだ日本が無条件降伏した1945年8月15日、第2次世界大戦が終結しました。10月には戦争のない世界を目指す国際連合が発足。70年後のいま、平和の国際秩序づくりを破壊しかねない逆流が日本から起きています。
 インドネシアのジャカルタ・ポスト紙は昨年11月、安倍政権の2年間を振り返った社説で警告しました。「日本はアジアにとって欠かせない」とする一方で、中国や韓国と正常な関係を築けない日本について、「過去の軍事的蛮行、歴史的事実の受け入れ拒否、過去と向き合う能力の欠如、これらが[中韓]2ヵ国を悩ませるのだ」。
 米紙ニューヨーク・タイムズは昨年1年間に、歴史間題で日本を批判する社説を4回も掲載。12月4日付社説で日本軍「慰安婦」について、「日本の戦時中の敵によってねつ造された全くのうそだと扱おうとする政治的動きがいま、勢いを得つつある」と指摘。「安倍政権は、戦時中の歴史の糊塗を要求することで、火遊びをしている」と非難しました。
 国連憲章の第1章にあるように、戦後国際秩序の土台は侵略戦争の否定です。しかし安倍晋三首相は、侵略戦争の事実を認めようとしません。

いっそうの疑心も
 さらに、解釈改憲で集団的自衛権の行使を法制化しようとする姿は、いっそうの疑心をかき立てています。
英王立国際問題研究所でアジア研究を率いるジョン・スウェン・ソンライト氏は昨年7月に英BBCで、解釈改憲が「憲法9条に成文化された戦後の政治的合意からかけ離れている」と懸念しています。
 オーストラリアの作家リチャード・フラナガン氏は昨年、日本軍捕虜となった父が過酷な労働を強いられた鉄道建設を舞台にした小説「奥の細道」で、英国を代表する文学賞「ブッカー賞」を受賞しました。
 同氏は英紙ガーデイア ンのインタビューで、父の体験を聞いてから「人間性ということが頭から離れなくなった」と吐露。「私はこの小説を書きたくなかった。過ちと破減だらけだから。しかし、この小説を書かなかったら、私は何も書けなくなっただろう」と語っています。
 韓国外務省アジア局長を務めた趙世瑛氏は、日本が「敗戦の原点」に戻るべきだと言います。「侵略戦争であることを受け入れたから、日本は国際社会に復帰できた。それを否定したら戦後秩序は維持できない」。

「戦争か平和か」の岐路~憲法9条を生かした進路こそ
 戦後、米国を中心とする北大西洋条約機構(NAT0)、旧ソ連を中心としたワルシャワ条約機構(1991年解散)など軍事同盟が次々と締結され、米ソ両陣営が互いに相手を仮想敵国と見なし、常に戦争に備える時代が続きました。
 これに強い危機感を抱いたのが、第2次大戦後に植民地支配から独立した国々です。55年に29ヵ国の首脳らがアジア・アフリカ首脳会議(バンドン会議)を開催。さらに61年に第1回非同盟諸国首脳会議を開き、大国主導の軍事同盟に加わらず、国連意章に基づく世界秩序を目指す非同盟運動が始まりました。
 欧州各国でシンガポール大使を歴任し、東南アジア諸国連合(ASEAN)憲章起草に携わったウオルター・ウーン氏は自著で「われわれは域外大国の砲艦外交にさらされた歴史的経験がある。それが21世紀に繰り返されてほしくないのだ」と強調しています。
 現在、非同盟諸国は世界の約3分の2にあたる120ヵ国です。

TAC型の条約を
 東アジアではASEAN10ヵ国が、国連意章より徹底した武力行使放棄を定めた東南アジア友好協力条約(TAC)を持っています。さらに、ASEAN10カ国に日本、米国、中国、ロシア、インドなど18ヵ国は、TACと同じく武力行使放棄に合意した首脳宣言(2011年のパリ宣言)を採択。対話によって「紛争を戦争にしない」枠組みの基礎ができつつあります。
 現在、アジア太平洋地域では米国と中国がそれぞれ影響力を拡大しようとしています。
 日中韓3ヵ国の関係も良好ではありません。昨年12月の内閣府の世論調査によると、中国と韓国に「親しみを感じない」日本人はそれぞれ 83.1%と66.4%。78年の調査開始から最悪となりました。
 タイのタマサート大学のチュラチープ教授は最近の論文で、東アジアで米国、中国、日本などが、「他国の意図に対する疑心暗鬼から抜け出せないでいる」と警告を発しました。
 日本共産党が提唱する「北東アジア平和協力構想」は、北東アジア諸国がTAC型の条約を締結しようと呼びかけています。日本が侵略戦争と植民地支配への反省に立ち、憲法9条を生かした進路を選ぶのかどうかは、「戦争か平和か」の岐路となります。

解放軍でなく支配者
 フィリピンのコラソン・アキノ政権で外務省儀典局長を務めたミゲ ル・ぺレス・ルビオ氏(89)は、日本軍が1941年12月8日にフィリピン侵攻したことを受けて、抗日ゲリラに参加しました。

「家族全員殺された」
 45年1月には憲兵隊に逮捕され、バギオで2ヵ月間拘束。「腰を深く曲げるお辞儀を強要され、できないと『コラァ!』と怒鳴られて顔を往復びんたされた」といいます。「日本軍は天皇を″神〟としてあがめよと強要しました。カトリック教徒の自分にとっては困難でした。当時、新聞に載った天皇の写真さえ汚したり破いたりすると処刑されたのです」
 その後、釈放されてマニラに戻りましたが、「家族は全員、2月12日の朝、憲兵隊本部近くの寺院に連れていかれ殺されていました。妹は直前にレイプされていました」。
 マニラでは市街戦で市民10万人が犠牲になりました。日本軍はサンテイアゴ要塞など数力所で集団虐殺を行いました。ルビオ氏は怒りをこめて言います。「日本軍は解放軍ではない。アジアの支配者になりたかったのです。なぜ安倍首相は靖国神社を参拝するのか、戦争犯罪人の東条英機が祭られているではないか」。

「認識の欠如」を批判
 シンガポールのラジヤラトナム国際関係研究所のバリー・デスカー元所長は昨年1月、同国英字紙ストレーツ・タイムズへの寄稿で、靖国神社と戦争博物館「遊就館」を訪問して自分の考えが変わったと述べました。
 同神社にはA級戦犯が祭られ、「遊就館」には、″死の鉄道〟と呼ばれた泰緬鉄道の蒸気機関車が展示されています。「鉄道建設で、強制労働に従事した10万人の東南アジアの人々、1万3000人の連合軍捕虜が犠牲になった。失われた生命への言及はなく、機関車の隣に見事に復元されたゼロ戦(日本軍の戦闘機)や大砲が並べられている」「上映される50分の映画では、南京大虐殺を否定し、東京裁判での『不当な』断罪を批判している」。同氏は、展示に表れた「第2次世界大戦での日本の役割への認識の欠如」に厳しい目を向けます。
 インドネシア戦略国際問題研究所(OSIS)政治国際関係部のトピアス・バスキ研究員は、「日本の政治家が過去の戦争に反省がないのはドイツと違う点です」と指摘します。
 戦争被害者という共通点から戦争を回避する努力が行われ、東南アジア諸国連合(ASEAN)が創設されたと指摘。北東アジア地域での平和構築について尋ねると「まず大事なのは歴史を客観的に評価していく作業ではないでしようか」と語りました。

信頼を築く歴史認識こそ
 朝鮮半島にとって2015年は、日本帝国主義による植民地支配からの「解放70年」という節目の年です。しかし、日本はいまだに韓国との間で、歴史認識や「慰安婦」問題などで課題が山積。北朝鮮とは国交さえ正常化できていない状態です。

「戦略持って外交を」
 韓国の朴大統領は昨年、これまでの日韓関係の発展は、「(日本が)平和憲法を土台に周辺国と友好関係を築き、村山談話と河野談話を通じて植民地支配と侵略戦争を反省し、未来に進もうという歴史認識があったからだ」と指摘しました。
 鄭昌鉉国民大学客員教授は、「政府側は過去の立場をしっかり確認し、議員たちは妄言などを自粛する。そうしてこそ信頼関係も築かれるし、信頼関係があってこそ、未来志向の関係が構築できる」と強調します。
 「日本が東アジアの国家として生きる努力をするなら、いくらでもアジアに貢献できる国になれます。日朝関係の改善も欠かせない。6ヵ国協議は北東アジアの平和を守る礎になるはず。日本は戦略を持って外交をしてほしい」と語ります。
 平和や労働問題などで運動を展開する市民団体「社会進歩連帯」の反戦チーム政策室長・林弼秀さんは、昨年の集団的自衛権行使容認の閣議決定で、軍拡競争が高まるのではないかと危倶しています。
 「米国の仲裁で、日韓政府の関係改善はできるかもしれません。でもそれは日米韓の軍事的協力を強めたりするもの。市民が願うのは、平和に向けた関係改善です。平和憲法を守る運動や核兵器廃絶運動に連帯していきたい」と語りました。

総合的な歴史の検証
 今年は、日韓国交正常化 から50年でもあります。両国は、1965年に日韓基本条約を結び国交を正常化。日本政府は、この時に結んだ日韓請求権協定に基づき、戦後補償は「慰安婦」問題も含め、すべて解決済みとう立場です。
 韓国はこの50年を検証する取り組みが官民多彩に行われます。ソウル大学の朴泰均教授は、総合的な歴史の検証が必要だと考えています。
 「植民地時代にとどまらず、解放から国交正常化までの20年、そして国交正常化後の両国の外交など、歴史的に何があったのか、両国の国民が正しい認識を持ち話し合うことが大事だ」と、市民社会の役割を 強調します。
 政府間だけでなく、政党同士の話し合いも必要だと朴教授。「韓国の政党もいろいろあり、与党でも進歩的な人もいる。日本共産党も積極的な対話をすれば役割を果たせるでしょう」と語りました。

新保守内閣が関係を壊す
 旧日本軍の侵略で1000万人以上が犠牲となった中国には、侵略の歴史をめぐり未解決の間題が数多く残されています。

「反人類的勢力多い」
 「日本政府は戦争中の重大な人権侵害を真剣に解決せず、責任を回避しようとしている」・・・「慰安婦」問題や強制連行問題約20年にわたり被害者と共に日本政府に謝罪と賠償を求めてきた中国の康健弁護士は、法廷で見た日本政府代表の冷淡さと、事実を認めない態度が忘れられません。
 「慰安婦」問題で反省と謝罪を表明した「河野談話」を見直す動きなどに対し、「なぜ日本政治の主流に反人類的な勢力がこんなにも多いか」と憤ります。
 日本の現代史に詳しい北京大学歴史学部の王新生教授は、安倍晋三政権が成立して以来、「河野談話」を否定する動きが多いことを問題視。「これは歴史の逆行で、中日関係、中韓関係など東アジア地域にマイナスなどでの影響を及ぼしている」と批判します。
 その上で「安倍政権は侵略戦争をきちんと反省しないままに、集団的自衛権の解禁や憲法改定を進めている。周辺諸国が心配するのは当然だ。安倍政権がこのまま行けば、周辺諸国との関係がますます悪くなるだろう」と危倶します。

日本の国益も害する
 中国社会科学院日本研究所の楊伯江副所長は、「現在の『安倍お友達内閣』は、新しい保守主義の内閣だ」と指摘します。
 「北東アジアの協力のため、中日韓の政治的関係の改善が必要だが、安倍首相や右翼勢力の歴史を歪曲し美化する言論が、周辺諸国との関係を壊している」と批判。「このままでは地域協力どころか、矛盾がさらに激化することになりかねない」「安倍政権は日本の国際的信用も傷つけ、日本の国家利益も害している」と強調します。
 楊副所長は、日本が中韓と関係改善し協力を発展させるための大前提として、「日本政府が過去の歴史の責任を認識し、歴史を尊重することが必要だ」と指摘。この点で、安倍首相が今年発表するとしている新しい「談話」の中身に注目しています。
 「談話が、歴史の反省や謝罪にほとんど触れず、『積極的平和主義』で世界に貢献していくという面を強調するのではないか。本当にそうであれば、戦後の日本の平和発展の道を切り替えることになる。侵略戦争への反省と謝罪を示した『村山談話』の事実上の否定だ」。

(2015.1.4~7 しんぶん赤旗・特集記事より転載)

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